コラム

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譲渡禁止特約が付いていたらファクタリングを利用できないってホント?

譲渡禁止特約

今回のテーマは、「債権譲渡禁止特約」です。
債権譲渡禁止特約とは、取引先との間で売掛債権が発生する際につけることがある特約のことですが、パッと見た感じではファクタリングを利用する際の足かせになりそうです。
そもそもファクタリングとは、債権者が手持ちの売掛債権をファクタリング業者に譲渡(売却)して現金を得るという方法であるわけですが、「債権の譲渡を禁止する特約」であるわけですから、ファクタリングを利用することはできなくなる……と思ってしまいがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。
今回の記事では、そんな債権譲渡禁止特約とファクタリングとの関係についてまとめてみました。

結論:特約付き売掛債権もファクタリング利用できる!

結論からいえば、現在では債権譲渡禁止特約が付いていてもファクタリングを利用することは可能です。
具体的には、2020年に民法が大きく改正されて以降は、特約付きでもファクタリングを利用できます。
ただし、それより前は特約付きの場合、ファクタリングを利用することはできませんでした。
ここでは、現在の状況に至るまでの流れを簡単に見てみましょう。

民法改正前はファクタリング不可だった

民法

そもそも、債権譲渡禁止特約というのは、取引において売掛債権が発生する場合、債権者が第三者に売掛債権を譲渡することを禁止する特約でした。
文字通り、この特約が付いている場合、ファクタリング業者という第三者に債権が譲渡されることはなく、もしも特約付きであるにもかかわらず債権者がファクタリングを利用して業者に債権を譲渡すると、ファクタリング契約自体が無効になってしまう可能性がありました。
ファクタリング業者の側も、債権譲渡禁止特約が付いている債権に関しては買取を拒否するケースが一般的でした。

しかし、2020年に民法が改正されたことで、その状況は大きく変化することになります。

2020年の改正後は利用OKに!

利用OK

改正された民法466条第2項には、
「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」
とあります。
債権譲渡禁止特約があらかじめ付いていたとしても、債権を他に譲渡することは妨げられないわけです。
つまり、売掛債権をファクタリング業者に売却することは可能であるということを示しています。

ただし、「債務者が知っていること」が条件!

交渉

ここまで見てきたように、債権譲渡禁止特約が付いていた場合もファクタリングを利用することは可能です。
とはいえ、注意点もあります。
ファクタリングを利用することを債務者が了解していない場合、債務者はファクタリング業者への支払を拒否することができるという定めになっているのです。

前に挙げた民法466条の第3項には、
「前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。」
という文言があります。

つまり、第2項で示されているように、たとえ債権譲渡禁止特約が付いていたとしてもファクタリングを利用することは可能ですが、売掛先に了解を取る必要があるわけです。
もし了解を取らないままファクタリングを利用してしまった場合、売掛先はファクタリング業者への支払いを拒否することが可能となります。

まとめ

ポイント

いかがでしょうか。
今回の記事では、債権譲渡禁止特約とファクタリングとの関わりについてまとめてみました。
債権譲渡禁止特約が付いていた場合、かつてはファクタリングを利用することはできませんでした……が、2020年の民法改正後は466条の大幅な改正によってファクタリングが利用できるようになりました。
ただし、ファクタリングを利用するにあたっては売掛先に通知し、了解を取ることが欠かせません。
注意点を押さえつつファクタリングを利用することを心がけましょう。

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