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ファクタリングで運転資金を調達する

診療報酬の支払いには時間がかかります。タイミングによっては、給与や、各種維持費の支払いに頭を悩ませる人もいるでしょう。ファクタリングはそういった悩みを軽減できます。どのような仕組みで運転資金が調達できるようになるのか、確認してみましょう。

本当に負担が少ない?診療報酬ファクタリングの仕組み

病院や診療所を開業後、軌道に乗るまでには時間がかかります。売掛金はあるのに資金がない。銀行から借入できず、支払いが滞ってしまった。そういうことが続くと、黒字倒産のリスクが高まります。
医療機関であれば、診療後から保険分費用が入金されるまでに、時間がかかるでしょう。そのため、支出と入金までにズレがでてしまい、帳簿上は黒字なのに、経営が安定しなくなります。
そういった現状に悩む人や、不安な方に提案したいのが、診療報酬ファクタリングの利用です。売掛金を早期現金化することができるので、もしもの事態を防ぐことができるでしょう。

ファクタリングとは
ファクタリングは企業が、資金を調達する方法のひとつです。商品やサービスを提供した際に、後日払いになると売掛金が発生します。売掛金は帳簿上未収金となるため、現金化に時間がかかると資金繰りに影響が出ます。売上は伸びているのに資金が調達できず、黒字倒産する企業も少なくありません。
そういった事態を避けるために、ファクタリングが利用されます。売掛債権をファクタリング会社に買取ってもらうことで、短期間で運転資金の調達ができるのです。
ファクタリングの利用は手数料がかかり、根本的な経営の改善とはいえません。しかし、各種支払いまでに資金を調達できるので、黒字倒産を避けることができるのです。

医療機関におけるファクタリング
診療報酬ファクタリングは、「医療機関」「ファクタリング会社」「国保・健保・協会けんぽ」の間で行われます。
医療機関は下記の手続きを行ないます
・ファクタリング会社へ、診療報酬ファクタリングを申し込む
・契約締結後、「国保・健保・協会けんぽ」に債権譲渡通知を行う
・「国保・健保・協会けんぽ」へ診療報酬の請求を行う(レセプト審査)

お金の流れは、ファクタリング会社から医療機関へ支払い。国保・健保・協会けんぽからファクタリング会社へ支払いが行われます。
注意する点として、医療機関への支払いは一度に全額行われるわけではありません。レセプトに不備がある場合、審査に通らず医療機関に戻ってくる可能性があります。そのため、ファクタリング会社は70~90%の掛目で、医療機関から診療報酬債権を買い取ります。その後、ファクタリング会社に診療報酬の支払いが確認されると、医療機関に残額が支払われるのです。

一般企業と医療機関でのファクタリングの違いは、審査に通りやすいこと。
ファクタリング会社への支払いは、国保などから行われます。一般企業と違い倒産のリスクを考えず、安定して債権回収ができるので、医療機関の審査は通りやすいようです。

診療報酬ファクタリングはこんな方におすすめ
・開業後、運転資金が不足気味
・今後融資を受ける予定はあるが、目先の運転資金が必要
・負債を増やさず運転資金を手に入れたい
・銀行の審査に通らず、困っている
・手間をかけず、黒字倒産のリスクを減らしたい

経営にはスタッフの給与や、月々の維持費など運転資金を安定させる必要があります。そのため、短期的な運転資金の改善を目的に利用される人が多いようです。

 

 

ほかの資金調達方法との比較

医療機関は一般企業のように、株式を発行しての資金調達ができません。そのため、資金調達の方法も限られてきます。診療報酬ファクタリングと、ほかの資金調達の方法ではどういった違いがあるのか確認してみましょう。

銀行借入
銀行などの金融機関から資金を借入れる方法。ただし、審査によっては借入ができないこともあります。
また、診療報酬ファクタリングと比べ、審査が厳しいようです。
信用がなければ金利が重くなるほか、融資総額が下がることもあります。経営者が今後の中長期経営計画案を金融機関に説明し、信用を得なければなりません。

社会医療法人積
社会医療法人であれば、一般企業の社債に似た、社会医療法人債を発行することができます。社会医療法人に移行するのが難しいことから、すべての医療機関で利用できるわけではありません。広く資金調達ができますが、多額の発行手数料が必要となります。

医療機関債
医療機関が債権を発行する方法です。過去3年の経営が黒字である、監査が必要となる場合があるなど、厚生労働省より条件が決められています。そのためすべての医療機関が利用できるわけではありません。また、手に入れた資金を自由に使えるわけではなく、用途に制約があります。

 

 

診療報酬ファクタリングを利用することのメリット・デメリット

診療報酬ファクタリングの利用をはじめるなら、メリットだけでなくデメリットも理解して検討したいはず。次はメリット・デメリットについて確認していきます。
 
診療報酬ファクタリングのメリット
【短期に資金化ができる】
医療行為から、医療費の入金までは数ヶ月のタイムラグがあります。また、銀行からの融資を受けるには審査に時間がかかります。ファクタリングの利用で、入金までの期間が短縮されるので、運転資金が調達しやすくなるのです。

【審査に通りやすい】
取引先が国保、健保となるので、ファクタリング会社は、ほぼ確実に診療報酬債権が回収できます。倒産のリスクを考えなくて良い分、一般の企業よりも審査がゆるく利用しやすいのです。銀行の融資がえられない場合でも、ファクタリングの審査に通る可能性はあります。

【負債にならない】
ファクタリングは「借入」「融資」ではなく売掛債権の売買になります。そのため、負債にはなりません。
これは経営者にとって大きなメリットです。財務状況に大きな影響を与えないので、賃貸対照表の改善や与信回復までの助けになります。

 

診療報酬ファクタリングのデメリット
【即全額買取されるわけではない】
すぐ入金される金額は、額面の70%~90%。これはレセプト審査に通らない可能性もあるためです。買取されなかった債権額の残りは、ファクタリング会社に診療報酬が支払われた後に、医療機関へ入金されます。

【導入後抜け出しにくい】
診療報酬ファクタリングを辞めると、次の入金まで空白の月ができてしまします。余剰資金がないと、各種支払いが滞る可能性が考えられます。
そのため、継続的に利用することをベースとして導入したほうが良いでしょう。

【手数料分の利益が減る】
診療報酬ファクタリングは、手数料を支払うことで、診療報酬債権を短期回収する仕組み。当然ですが、ファクタリング手数料がコストとして加わるので、その分の利益が減ってしまいます。場合によっては、経常利益率の悪化を銀行から指摘されるかもしれません。

資金繰りの根本的な解決を考えるなら
診療報酬ファクタリングの利用で、売掛金を早期現金化できます。しかし、手数料がコストとなりますし、中長期的な資金の解決とはなりません。あくまで黒字倒産を回避する手段として考え、利用している人もいるでしょう。
そこで利用をおすすめなのが、経営コンサルタントの依頼です。
もし可能なら、ファクタリング会社のコンサルタントを受けましょう。そうすることで、ファクタリングを利用しながら、財務の改善が目指せます。ファクタリング会社を選ぶときは、コンサルタントを任せることができるかも確認してみてください。

 

今後の経営についてもきちんと見直しを!

ファクタリングを上手く利用することで、黒字倒産のリスクが軽減できます。
支払いと入金のタイミングが合わず、頭を悩ませている人には心強いサービスとなるでしょう。
資金繰りの根本的な解決にはなりませんが、リスク管理としては有効な手段です。短期的な資金調達にはファクタリングを利用、中長期的な経営改善にはコンサルタントを利用する。そうやって上手く利用することで、資金繰りを改善してください。

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