コラム

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2017.10.10

経理初心者が知っておきたいファクタリングの税務処理

ファクタリングサービスを利用するとなった場合、経理として気になるのは会計処理や税務処理の方法に違いがあるのかという点でしょう。ここでは、ファクタリングサービスを利用した場合に、会計処理と税務処理において気をつけるポイントを紹介します。

 

ファクタリング利用で会計処理・税務処理の手間は増えるか

ファクタリングサービスを利用するとなると、通常通り売掛金を回収する場合より、会計処理・税務処理が面倒になるのではないかと心配される方もいらっしゃるでしょう。
そこで、ファクタリングサービスを利用した場合の会計処理と税務処理について、それぞれ説明していきたいと思います。

 

ファクタリングを利用した場合の会計処理はどうなる?

まずは、ファクタリングサービスを利用した場合の会計処理についてから説明していきましょう。
ファクタリングサービスを利用したからといって、会計処理が特別複雑になるようなことはありません。

【ファクタリングサービス利用時の会計処理のポイント】
• ファクタリング手数料を損金に算入する
• ファクタリング手数料に消費税はかからない

気をつけるのは、上記2点です。
ファクタリングサービスを利用した場合、売掛金からファクタリング手数料を差し引いた金額が入ってくることになります。
例えば、売掛金が100万円、ファクタリング手数料が20%であった場合、会計処理は以下のようになります。

<ファクタリング契約をした>
(借方)未収金:100万円  (貸方)売掛金:100万円

<ファクタリング会社より入金があった>
(借方)現金 :80万円 (貸方)未収金:100万円
      債権譲渡損:20万円

 

通常通り売掛金を回収した場合との違いは、債権譲渡損があるかないかです。
債権譲渡損の記載を忘れなければ、特に問題はないでしょう。
なお上記は一例ですので、実際に会計処理を行なう際に選択する勘定科目・仕訳方法等は、自社のやり方に従ってください。
顧問税理士・顧問会計士がいる場合は、一度処理方法を確認するようにしましょう。

 

ファクタリング利用時の税務処理への影響

続いて、ファクタリングサービスを利用した場合の税務処理について説明していきます。
税務処理も会計処理と同様、ファクタリングサービスを利用したからといって、手間が増えるようなことはありません。

【ファクタリングサービス利用時の税務処理について】
• ファクタリング手数料は損金なので法人税には影響しない
• 税務申告書作成時に特別必要なことはない

つまり、ファクタリングサービスを利用した場合でも、税務処理には何も影響がないということです。
ただし、課税売上割合の計算をするときには少し注意が必要。
次の項目で詳しく説明していきます。

 

ファクタリングで得た資金は非課税売上高に含めないよう注意

課税売上割合の計算は、消費税の控除を受けられるかが決まる重要な計算です。

<課税売上割合の計算式>
課税売上割合={課税売上高÷(課税売上高+非課税売上高)}×100%

課税売上割合が95%以上であれば、消費税の控除を受けることができますが、それ以下であると控除を受けることができません。
分母(課税売上高+非課税売上高)が大きければ、課税売上割合は下がるため、非課税売上高の金額が大きいほど控除を受けられない可能性が高くなるのです。

通常、金銭債権の取引は課税の対象になりません(非課税取引)。
ですから、金銭債権の譲渡によって発生した売上高(譲渡対価)は、非課税売上高に含めることになります。
つまり、金銭債権の譲渡によって資金調達をするほど、消費税の控除が受けられない可能性が高くなるということですね。
(※2014年4月1日から、金銭債権の譲渡によって発生した売上高は、全額ではなく5%だけを非課税売上高に含めることになっています。)

 

しかし、同じ金銭債権であっても売掛債権だけは例外。
売掛債権の譲渡によって発生した売上高については、一切非課税売上高に含めません。
これはなぜかというと、売掛債権は取引先に商品、またはサービスを提供した時点で消費税が課税されているから。
すでに課税売上高に含められているのに、売掛債権の譲渡対価を非課税売上高としてしまえば、二重計上となっていまいます。
これを避けるために、売掛債権だけは非課税売上高に含めないことになっています。
課税売上割合の計算をする際には、売掛債権の譲渡対価を非課税売上高に含めてしまわないよう、注意してくださいね。

ただし、他社から譲り受けた売掛債権をさらに譲渡する場合には、非課税売上高に含めても二重計上にはなりません。
ですから、このような場合には売掛債権の譲渡対価も非課税売上高に含めます。

【ファクタリングを利用した場合の課税売上割合計算のポイント】
• 売掛債権の譲渡対価は非課税売上高に含めない
• 他社から譲り受けた売掛債権の譲渡対価は非課税売上高に含める

 

ファクタリング利用による会計処理・税務処理への大きな影響はなし!

ファクタリングサービス利用時に注意すべきは、会計処理でファクタリング手数料を損金算入することと、課税売上割合計算で譲渡対価を非課税売上高に含めないということです。
このように、ファクタリングサービスを利用した場合でも、会計処理・税務処理上で面倒な作業が発生することはないのです。